時間単価制の請求書の記入例

架空の例として、Webエンジニアの佐藤さんが株式会社サンプルに2026年10月分の保守作業を請求する請求書を示します。

請求書のレイアウト例(架空の例)
欄記入例
宛名株式会社サンプル 御中
発行日2026年10月31日
請求書番号2026-10-001
件名Webサイト保守業務(2026年10月分)
明細Webサイト保守(2026年10月1日〜31日)82時間30分 × 5,000円 = 412,500円
小計(10%対象・税抜)412,500円
消費税(10%)41,250円
合計(税込)・ご請求金額453,750円
振込先サンプル銀行 本店 普通 1234567 サトウ タロウ(架空)
支払期日2026年11月30日
発行者佐藤 太郎(住所・メールアドレス)
登録番号T+13桁の番号(インボイス登録をしている場合のみ)
請求書のレイアウト例(架空の例)

412,500円や41,250円がどう決まるかは、時間単価の請求書の作り方で手順を追って説明しています。この記事では、各欄に何をどう書くかに絞ります。

上から順に、各欄の書き方

宛名

会社宛てなら正式な会社名に「御中」、担当者個人宛てなら氏名に「様」をつけます。「御中」と「様」は併用しません。「株式会社」が前につくか後につくかは、契約書や発注書の表記に合わせ、(株)のような略称は避けます。

発行日と請求書番号

発行日には請求書を作成した日か、契約で決めた締め日を書きます。請求書番号は必ず付けなければならない項目ではありませんが、「2026-10-001」のように年月と連番で振っておくと、問い合わせや入金確認のときにすぐ特定できます。

件名

何の業務の、いつの分の請求かが一目でわかるようにします。「10月分」だけでなく、業務名と対象月を組み合わせて書くと、前月分との取り違えが起きません。

明細行

時間単価制の明細は「品目・数量(時間)・単価・金額」の4つで構成します。時間は「82時間30分」でも「82.5時間」でもかまいませんが、1枚の請求書の中では表記を統一します。日ごとの作業内容まで請求書に詰め込むと読みにくくなるため、内訳は別紙の稼働明細にまとめ、請求書には「内訳は別紙稼働明細のとおり」と添える形が扱いやすいでしょう。別紙の作り方は稼働明細書の作り方を参照してください。

小計・消費税・合計

税抜の小計、消費税、税込の合計を別々の行に書きます。消費税を分けて示しておくと、インボイス登録をしていない場合でも、受け取った側が金額を確認しやすく、源泉徴収の計算にも使えます。

源泉徴収税額(該当する場合のみ)

原稿料や一定のデザイン料など、源泉徴収の対象になる報酬を請求するときは、合計の下に「源泉徴収税額」をマイナスで書き、最後に「差引ご請求額」を置きます。税額の出し方は源泉徴収税額の計算方法で扱っています。

振込先と支払期日

銀行名、支店名、口座種別、口座番号、口座名義(カナ)を省略せずに書きます。支払期日は「月末締め翌月末払い」など契約の条件に合わせます。振込手数料の負担を契約で決めている場合は、その旨も書いておくと入金額の行き違いを防げます。

発行者情報

氏名(屋号があれば屋号も)、住所、メールアドレスなどの連絡先を書きます。押印の要否は取引先の運用によるため、求められたときに対応すれば十分です。

インボイス登録をしている場合の記載事項

適格請求書発行事業者として登録している場合、国税庁のNo.6625 適格請求書等の記載事項では、取引の相手方に交付する請求書に次の6項目を記載するよう示されています(2026年11月時点)。

適格請求書の記載事項と、時間単価制での書き方の例
記載事項(No.6625)書き方の例
① 書類作成者の氏名または名称および登録番号佐藤 太郎/T+13桁の登録番号
② 取引年月日2026年10月1日〜31日(一定期間の取引をまとめて記載する方法も認められています)
③ 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)Webサイト保守業務(役務の提供のため、軽減税率の対象品目はなし)
④ 税率ごとに区分して合計した税込対価(又は税抜対価)の額及び適用税率10%対象 412,500円(税抜)
⑤ 税率ごとに区分した消費税額等消費税(10%)41,250円
⑥ 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称株式会社サンプル
適格請求書の記載事項と、時間単価制での書き方の例

登録していない場合

適格請求書を交付できるのは、税務署長の登録を受けた適格請求書発行事業者だけです(No.6625)。登録していないフリーランスも、通常の請求書で報酬を請求すること自体はできます。その場合は登録番号を書かず、「適格請求書」「インボイス」とは表示しません。登録の有無が取引条件に影響するかどうかは、契約前にクライアントと確認しておくと安心です。

注意

記載事項は国税庁の公表内容に基づく一般的な説明です。個別の取引で必要な表示は、税理士や所轄の税務署にご確認ください。

よくある書き間違い

  • 時間の換算ミス:1時間45分を「1.45時間」と書いてしまう(正しくは1.75時間)。
  • 税込単価への消費税の上乗せ:契約が税込単価なのに、さらに10%を加えてしまう。
  • 稼働明細との不一致:明細を直したあと、請求書の時間数を更新し忘れる。
  • 対象月の書き漏れ:件名にも明細にも何月分かがなく、前月分と区別できない。
  • 登録番号の誤記:Tに続く13桁を1桁でも誤ると、受け取った側が登録を確認できない。
  • 宛名の表記ゆれ:略称や旧社名のまま送ってしまう。

Hacaruでは、設定に請求者情報(氏名・登録番号・振込先)を一度登録しておくと毎月の請求書PDFに同じ内容が入り、請求書と稼働明細が同じ稼働記録から作られるため、時間数の食い違いが起きません。